HTTP/2仕様のWGラストコール始まる
(注)8月1日にチェアより正式にWGラストコールの宣言がありました。 "Working Group Last Call: draft-ietf-httpbis-http2-14 and draft-ietf-httpbis-header-compression-09" すったもんだしたあげく、draft-14が出ることに。結局ヘッダフォーマットなど色々変わっちゃいました。
1. HTTP/2仕様は最終段階、いよいよラストコールへ
先週末の6月27日にhttpbis WG(ワーキンググループ)の議長のMark Nottingham氏より、 「HTTP/2 Implementation Draft 5 (and getting to Working Group Last Call)」 というアナウンスが出されました。6月上旬にNYCのGoogleオフィスでHTTP/2の中間会議が開催され、このアナウンスはそこでの議論の結果を受けて行われたものです。彼からのアナウンスをまとめると、
- 先日(6/17に)出した HTTP/2仕様 draft-13 を5番目の実装仕様とする。
- この仕様をもとに長期間(半年ほど)かけて広くHTTP/2の実装・デプロイを行う。
- 幾つか issue がまだ残っているが、プロトコルフォーマットや実装挙動を変えるものではない。
- issueが全部クローズするまでこのドラフトを正式に WGLC とはしないが、プロトコル設計自体はWGLCとして扱ってほしい。
- 9月にWGラストコールを終了させる予定です。
という内容です。
2012年1月からHTTP/2仕様の検討が開始されましたが、2年半経ってようやくここまで来ました。当初2014年4月にWGLCの予定でしたが、多少遅くなってしまったのは仕方ないことです。
2. h2-13 実装と大規模デプロイ
h2-13(HTTP/2 draft-13仕様)の実装状況は、6月30日時点で早速 Twitter,Firefox Nightly,Chrom Canary で利用できるようになっています。そしてQ3にかけて、 GFE(Google Front End)や akamai 等の大規模サービスでh2-13の利用ができるようになる予定です。MicrosoftもQ3の夏の終わりに IE dev channel で HTTP/2ドラフト実装などが提供される見込みです(IISも取り組んでいるがまだ約束できないとのこと)。
httpbis WGは、この秋にHTTP/2がブラウザの安定版や実サービス環境で広く安定的に利用できることを実証し、この実績をもとにIETF内でのHTTP/2仕様の合意を目指す方針です。
3. 今後のスケジュール
NYC中間会議の最後のセッションで話し合った今後のスケジュールは下図の通りです。
9月上旬のWGLCの終了を受けて、10月上旬には他WGを含めたIETF Last Call を行い、12月上旬に IESGのレビューを受け、来年2月頃にはRFC 化という段取りです。
これは非常に理想的なスケジュールであり、今後様々な issue やコメントがフィードバックされてスケジュールの見直しが避けれられない可能性があります。
また、ラストコール中にも様々な機能追加の提案がされるでしょう。先日のNYC中間会議でHTTP/2仕様の独自拡張(フレームや設定値などの拡張)を行う機能が採択され、draft-12で少し膨らんだ機能仕様の一部が拡張機能に追い出されました。今後、追加機能の提案に対しては基本的に拡張機能として議論し、HTTP/2の仕様化完了の作業をブロックしないようにすることが合意されています。
とはいうものの、WebSocket の時のようにプロトコル的なセキュリティ脆弱性等が発見されると仕様自体一旦全部おしゃかになってしまう可能性もあります 。大詰めを迎えたHTTP/2仕様化作業は、これから大きな正念場を迎えます。